中川無外眞傳無外流居合兵道
東京江都無外会
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【無外流の創始と流祖 辻月旦】

 慶安2年(1649年)、近江国に生まれた辻月旦(幼名 平内)は13歳で京に上り、山口流剣術を修めて延宝2年(1674年)、26歳にして免許を受け、江戸へ下りました。麹町に山口流の道場を開きましたが、求道の思いから麻布吸江寺の石潭禅師に師事して禅学と漢籍の素養を学び、石潭師の没後は第2世の神州和尚の下で参禅を重ねて元禄6年(1693年)、45歳の時に悟境に達し、神州和尚から石潭師の名で「一法實無外 乾坤得一貞 吹毛方納密 動着則光清」の偈を受ける至りました。ここに辻平内は辻資茂と改名して号「月旦」を名乗り、新たな流派を興して偈の冒頭の一節「一法實無外」に因む「無外流」と名付けました。

 やがてその技量・人格・・識見は広く知られるところとなり、門下には千人を超える弟子を擁するまでになり、その中には旗本 小笠原佐渡守長重や土佐藩主の山之内豊昌らも名を連ねていました。生涯妻帯することなく一生を剣と禅の追求に注いだ辻月旦は72歳で病を得て享保12年(1727年)6月23日に没し、その遺骨は芝高輪の如来寺(現存は品川区)に葬られました。

 辻月旦は生前、流派の剣術の形よりも、その精神が誤って伝えられることを恐れ「無外眞傳剣法訣」を記しました。「夫撃剣術鎮国大権、撥乱要備也(夫レ撃剣ノ術ハ国ヲ鎮ムルノ大権、乱を撥ク要備也)」で始まる序文を冠した同著は、治にいて乱を忘れずの心と、心技体をバランスよく鍛錬する「平時の剣」の修行の大切さを説いています。そこには「剣術」という言葉を使わず流派の技を「兵法」称した思いが表れており、その精神は現代に通じるものが多くあります。

 

 

【その後の無外流】

 流祖 月旦の死後、江戸の無外流は第5代資幸の後に姫路藩や土佐藩に伝えられて幕末を迎えます。第12代姫路藩主 酒井忠通の臣、高橋八助充亮は先述した資幸から免許を授かって藩剣術指南役に就き、以後代々同役を世襲した高橋

家が無外流を伝承していきます。

 明治維新で時の高橋家当主、哲夫(号 武成)は藩から役を解かれますが、自宅道場で技の教授を続けました。その一子で明治11年(1878年)に無外流兵法の奥義を授けられ高橋赳太郎は、西南戦争での警視庁抜刀隊の活躍などを機に剣術復興の潮流が生まれていた折から自らも大阪府巡査などを経て明治20年(1887年)、警視庁撃剣世話係に採用されました。同時期に同役に就いた川崎普三郎(無外流)、高野佐三郎(中西派一刀流)と合わせ「警視庁の三郎3傑」と謳われました。

 

【中川士龍と眞傳無外流居合兵道】

 長じて無外流第11代宗家となる中川申一(号 士龍)は明治28年(1895)年に長崎で生を受け、父親の転勤に伴って神戸に移住して神戸高等商業学校在学時代、高橋赳太郎に師事しました。その後土佐無外流の川崎善三郎の教えも受け、高橋赳太郎から継承した「無外流剣術」「無外流居合」を集大成・再編する形で「無外流居合兵道」を確立しました。

中川士龍は技だけでなく流派の沿革・歴史も調査研究して編纂した「無外流全書」「無外流居合兵道解説」「無外眞傳兵道考」など多数の著書を残し、昭和56年(1981年)に享年86歳で死没、「龍翁院申道一居士」の法名で京都妙心寺天球院墓地に祀られています。

 

中川士龍はその著「無外真傳兵道考」で居合について語っています。

 《居合とは何かとの質問に対して、「鞘の中」などと答える人が多いが、成る程御尤もではあるが、答える御本人は、その意味を了解してのことだかどうかは、わからない…(中略)…「鞘の中」などと言いながら、上手に見事に行って、称号や段位にありつこうなどとの心を以て、行っては居合の価値は零である。…(中略)…行の足りた者は、相手の心の中まで見抜くようになり、心に余裕を以て対するから相手は威圧感に打たれて、手を出さなくなる。かくなれば刀を抜いて斬る要もなくなり、抜かぬ前に制圧することとなる。抜刀して威圧せずして、鞘の中に於いて威圧し去ることとなるのである。鞘の中とは名人、達人にして初めてよくなし得るところである》――「無外流居合兵道」として剣理を現代に合う言葉で構築し直し、流派中興の位置づけにある中川士龍もまた、流祖 辻月旦と同じように形の速さや美しさのみを追求することを戒め、心の修錬・錬磨をうながしていました。

 

中川士龍は生前、次代を語ることがなかったため、その後は中川士龍から免許皆伝を伝授された者が皆伝を許された順に宗家を継承し、現在は小西御佐一(号 龍翁)が第16代宗家として流派を受け継いでいます。その一門で構成する「中川無外眞傳無外流居合兵道 士龍会」は流祖以来、脈々と続く流派の技と伝統を今に残す正統無外流の唯一の会派です。

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